ムンクは「叫び」だけの人ではない

昨日、思い立って東京都美術館の「ムンク展 共鳴する魂の叫び」に行った。

「ムンク=叫び」

日本人の多くが抱いているイメージだろう。恥ずかしながら、私もその一人だった。

しかし、先日書店でムンクに関する美術系の本を手に取った時、あることに気が付いた。

「ムンクは『叫び』以外の作品が秀逸だ」

そう。ムンクの「叫び」はあまりにも有名だが、それ以外の作品がとても素晴らしいということに気づき、この目で確かめたくなったのだ。

その衝動に突き動かされ、急遽行く予定のなかったムンク展に足を運んだ。

本記事では、これからムンク展に行く方のために筆者なりの見どころを紹介したいと思う。加えて、上野の美術館に行く際におすすめのルートなど、ちょっとした裏技も紹介したい。

ムンク展 共鳴する魂の叫び@東京都美術館

2018年10月27日から始まった「ムンク展」は、「叫び」をはじめ全101展の作品を展示。1月20日(日)まで開催している。

基本的な情報を求めていない方は、この項目は飛ばしても良い。

場所・アクセス

東京都美術館は、上野動物園の入り口に近い美術館。上野駅からであれば、公園内をまっすぐに進み動物園のすぐ右手側だ。

御徒町から公園内を歩く場合には、左手側になる。

時間/休室日

開催時間は月曜日を除く、9:30-17:30。(一部月曜でも開催の日あり。要確認)

最近、美術館ではもっぱら当たり前にもなってきたが、金曜日は20:00まで空いている。仕事終わりに飲みに行くより、美術館に行って気持ちを豊かにするのも悪くない。

チケット

チケットは、当日券(一般)で1,600円。後ほど紹介するが、少しだけ安くチケットを買うこともできる。

子供の姿もちらほらあったのは少し驚いたが、高校生未満は無料。さらに、12月は高校生も無料らしい。シルバーデーでは、65歳以上の方も無料になる。(混雑するらしい)

所要時間

もちろん、美術館での過ごし方は人それぞれだから、一概には言えないが3フロアで展示が行われているため、最後まで観るのにはそれなりに時間はかかる。

私はすべての作品を観るのに60分ほど、もう一度見たい作品があり、2週目に突入したため90分程滞在した。混雑状況にもよるが、早い人であれば60分以内で回れるだろう。

混雑状況

私が行ったときは、会期初期の金曜日ということもあり、混雑状況は「やや混み」だった。荷物を預けるロッカーもかなり埋まっていて焦った。

土日はもっと混んでいることが予想される。行くのであれば平日か、金曜日の夜がおすすめだ。

ちなみに、「叫び」エリアでは整列する必要があり、近くで見たい場合にはその列に並ぶ必要がある。並ばなくても、パーテーションの外側からなら作品を観ることが可能。

東京都美術館へのおすすめルート

少し横道にそれるが、上野の美術館に行くときは御徒町で降り、金券ショップを何店か経由し、上野恩賜公園を通って向かうのがおすすめだ。

これには単純だが3つの理由がある。

  1. 金券ショップだとチケットが安い
  2. チケットを買う列に並ばなくて良い
  3. 上野エリアの雰囲気を味わえる

今回は、まだ展示が始まったばかりということもあり、あまり価格は安くなっていなかったが、それでもたくさんの展示・美術館を観て回りたい人にとっては、ありがたい存在だ。

そして何より、チケットを買う際に列に並ばなくて済むメリットも大きい。特にムンク展やフェルメール展など、日本でも注目される展示の場合には、美術館でチケットを買うだけでも待たされることが多いものだ。金券ショップのチケットであれば、そのまま入場できて楽だ。

上野エリアには数多くの美術館・博物館が存在する。上野駅から雰囲気を楽しむのも良いが、御徒町の雑多な雰囲気を味わいながら、上野恩賜公園を少し長めに歩くのが、個人的には好きなルートだ。上野恩賜公園までは、御徒町からでも近い。

ムンクのリトグラフと木版画

ムンク展の展示は、リトグラフの「自画像」から始まる。ムンクは写真にも造形が深かったようで、今で言う「自撮り」の先駆者であるというような記載があった。

なるほど、現代を生きる人に響きやすい、うまい表現だと感心する。

最初のエリアは、「叫び」のイメージを持って入場した人には、ちょっとした「サプライズ」になるかもしれない。いい意味で期待を裏切り、新しいムンクのイメージを形成できるはずだ。

ここからは、展示順に私が気に入った作品、ぜひ注目して見てもらいたい作品を紹介していく。

病める子

リトグラフの作品で、自身の妹を描いている。2種類の色彩の異なるバージョンが展示されており、それぞれに味わいがある。私は黒と赤の表現に、惹かれるものがあった。

絵の中心となる人間だけでなく、色使いや構図などもぜひ楽しんでほしい。

渚の若い女

最初のフロア、最後に展示されているのが「多色塗り木版」。私がもっとも心惹かれた作品であり、一番おすすめしたい作品でもある。

壁一面にいくつかの作品を展示しているが、そのどれも素晴らしい。色彩の優しやさ配色、モチーフすべてが魅力的だった。

隣にいた子供(4-5歳か)が母親に向かって「夢の中みたい」と言ったのを、私は横で感心しながら同意した。

マドンナ

自身の母親をモチーフにしたと言われる「マドンナ」も、人を惹きつける魅力を持った作品だった。こちらもリトグラフの作品で、色の異なるバージョンが3つ展示されている。

中でも62番の「マドンナ」(一番左端にある)は、思わず見入ってしまう美しさがあった。白が青の美しさが引き立て、絶妙なバランスを作っている。

解説によると、「精子と胎児に囲まれている」とあった。生と死を身近に感じていたムンクならではの表現かもしれない。

 

固定概念を捨ててムンク作品を楽しむべし

他にも、私好みの作品は多くあったが、キリがないのでこの辺にしておく。ここで紹介した3つの作品は、ぜひ「流し見」せず、足を止めてじっくり鑑賞してほしいと個人的には思う。

「叫び」目当てでムンク展にいく方も、そうでない方も、きっと何か感じることができる展示である。

「ムンク=叫び」という概念を一度捨て、芸術家としてのムンクの作品を楽しんでほしい。

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