合同会社 空創技研プロペラ 代表 櫻井優一

岐阜工業高等専門学校卒業後、岐阜県庁に入庁。14年の公務員生活を経て、合同会社プロペラ(現:合同会社 空創技研プロペラ)を設立。同社代表を務める。ドローンパイロットアカデミー東海の代表も兼任。

合同会社 空創技研プロペラ公式サイト

 

ドローンの可能性

「ドローン」に対して、あなたはどのようなイメージを持っているだろうか。

最近では、テレビや映画などの美しい映像をドローンで空撮をしたり、千葉市が地区内での医療用医薬品の配達に活用する取り組みを始めたりと、これからの私たちの生活に役立つ便利な利用方法に注目が集まっている。

そうした明るいニュースがある一方で、2015年には首相官邸にドローンが着陸するという事件があったことは、記憶に新しいだろう。

果たして、これからドローンはわれわれに何をもたらしてくれるのか。

櫻井氏はいち早くドローンの可能性に注目し、長い公務員生活をへて2015年4月、空創技研プロペラを立ち上げた。今回は、ドローンのビジネスモデル、ドローンをサービスとして提供するという発想に至るまでの経緯、今までの経歴についてお話を伺った。

前編はドローンのビジネスモデルを中心に、後編は櫻井氏の人物像に迫った。

 

ドローンのビジネスモデルとは

取材日:2017年1月27日

ーーまず、空創技研プロペラをご存じない方のために、事業内容について教えてください。

「事業の3分の1は、自治体向けコンサルティングです。ドローンの活用法を一緒に考え、利活用計画の策定、導入スケジュール、場合によっては人材育成も行います。今では大手企業からも、ご依頼をいただくようになりました。あとは、ドローンパイロットの育成、撮影(空撮)、研究・開発用のドローンの作成を行っています。」

 

ーー会社設立から今まで、いかがでしたか?

「会社を設立直後に、首相官邸にドローンがお邪魔してしまったわけです。そのためドローンに悪いイメージがついてしまい、1年目の売り上げは芳しくなかったですね。最初は、貯蓄を切り崩しながらの操業。かなり厳しかったです。

その頃はマーケットが未成熟で事業計画を作成するのが難しく、1年たって初めて事業計画を立てました。その頃に、業界の事情や自分の立ち位置も見えてきたので。

初めていただいた仕事は農業組合からの仕事で、地域の空撮をしました。

2件目の仕事は、広島の自動車メーカーマツダのテストコースでドローンを飛ばすというものです。イベント実行委員会に知り合いがいたので、会社設立後にごあいさつに伺ったところ、そのお話をいただきました。車のテストコースでドローンを飛ばしたのは、私が初めてじゃないでしょうか。」

 

ーーかなり大きな仕事ですよね。そこから次のお仕事にもつながりましたか?

「そんなことはないです。ここで流れが来るかと思ったんですが、その冬とかは仕事がなかったですね。事務所の家賃を払うのも、苦労しました。その時は『やめようかな』と思ったこともありましたね。問い合わせがあっても、受注に至らなかったのです。当時はお金の心配ばかりでした。今もそう変わりませんが(笑)

でも、地道に地元の自治体などで勉強会などを無料で開催していたら、起業から1年たったころから徐々に仕事をもらえるようになったのです。

徐々に忙しくなり、そこではじめて展望が見えてきました。今では大企業とも取引ができるようになりました。『ツイていた』と思いますね。自分のできることを提供し続けて、ようやく結果が返ってきたという感じです。でも、私はお金が入るとすぐ機材に投資してしまうんです。(笑)」

 

ーー「空想」ではなく「空創」という名前がすてきですね。会社の名前の由来を教えてください。

「最初は『合同会社プロペラ』だったのですが、川崎重工や自衛隊の基地が近くにあるので『プロペラを設計する会社』と間違われることが多く、今の会社名にしたのです。もっと、21世紀的な名前にしておけばよかったかなと思います。(笑)

空間をどう使うかが事業なのでイメージング(空想)ではなく、クリエイティブ(空創)としました。造語ですけどね。」

 

ーーなぜ、地元の岐阜で起業されたのですか?

「はじめから、東京に出てくる気はなかったですね。ドローンのフライト環境としても、岐阜は恵まれています。今はネットがあるので、地域による格差はあまり感じません。ただ、東京での仕事も増えてきたので、今後は東京に事務所があったほうがいいケースも出てきそうです。」

 

ーーどのように社会に貢献されていると思いますか?

「ドローンは道具ですから、現場でどこまで役に立てるかが重要だと思っています。その現場自体が社会に貢献しているので、道具として使ってもらうことで間接的に貢献できていると思います。

ドローンを使った『宅配』が本格的に始まれば、これも社会にインパクトがあるでしょう。

それだけではなく、使い方によって人に感動を与えられるとも思うのです。ドローンの講習会を行うと、子どもは目をキラキラさせて喜んでくれます。使い方によっては、人に感動を生むツールになってきたかなと。

これからは、いかに飛行リスクを減らしていくかも課題です。

今できなくても技術が変われば、もっと役に立っていくツールになると思います。車みたいに、当たり前になる時代が来るでしょう。見守りや、農業分野での観測などの利用も増えると思います。」

 

ーー今後、人工知能を搭載したドローンも登場するのでしょうか?

「特に物流分野では、注目されそうです。判断材料を与えて、画像認識をする。着陸して問題ないか、といった判断を行えるようになります。ディープラーニングですね。使える技術なら、積極的に取り入れたいと思っています。」

 

会社の展望、ドローンの今後

ーー会社としての今後の展望はいかがですか?

「コンサルティング、パイロットの育成、研究開発用のドローン製作を中心にしていこうと思います。撮影依頼はあまり伸びないでしょう。買ってしまえば誰でも使えてしまうので、新規参入が容易ですから。

それよりもドローンの新しい使い方を提案したいですね。もの(ドローン)をただ売るのではなく、一緒に使い方を考えましょうと。提案の部分でサービスを提供していきたいです。お客さんからの要望は、基本的に断らないようにしています。うちでできない時は、他社を紹介することもありますよ。

もともとは理系なので『この技術とこの要素を組み合わせればできるだろう』とイメージはできます。私は企画に強い理系なのか、理系に強い企画なのかわからなくなることがありますが。(笑)」

 

ーードローン市場で、求められることは何ですか?

「繰り返しになりますが、ドローンはあくまでも道具です。それに付加価値をつけていくことが、重要だと考えています。ぱっと見では、付加価値がわかりづらいですからね。

例えば、空撮の場合。ドローンパイロットは技術はあっても 映像のことを知らないことが多いのです。でも、作り手側の視点(作品的な部分の理解)が必要だと思うのです。そこでわれわれが間に入り、付加価値をつけていきたいのです。」

 

ーードローンの面白い活用法はありますか?

「テレビでも紹介されましたが、イベントでドローンを使って空からお菓子をまきました。あとは、海外ではドローンに殺虫剤をつけて、蜂の巣を駆除している人もいます。可能性は無限大です。

参考:ドローンによるお菓子まき、関東地方 初出演!

あと、紅白歌合戦でPerfumeがドローンと共演したのは面白かったですね。エンターテインメント分野でも活躍を始めています。アーティストと一緒に『踊る』というのは、技術的には相当難しく、日本でもできる人は1人くらいしかいないと思います。Intelも数百のドローンを制御して光の演出を見せました。

一方、ドローンは悪い事しようと思えば、いくらでもできてしまうのです。自治体での講習会などでは、そうした倫理的な部分についても話すようにしています。」

後編:合同会社 空創技研プロペラ ーードローンの可能性 【インタビュー後編】

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