くるりはなぜメンバーがよく変わるのか

京都出身のロックバンド、くるり。

1998年にメジャーデビューを果たしてから、今年2017年で19年もの月日が経つことになる。くるりはその間、何度ものイメージチェンジ・メンバーチェンジを繰り返してきた。

しかし、一度たりとも解散の噂が立つこともなく、今でもくるりは進化を続けている。

例えるならば、その時々で肌の色を変えるカメレオンのようでもあり、進化する生命体(細胞)のようでもあるバンドくるりについて、今回は私の見解を示したい。

くるりとは

立命館大学の音楽サークル「ロックコミューン」から生まれたロックバンド。現在と変わらないメンバーはGt&Voの岸田繁、Ba&choの佐藤征史の2人だけである。

シングル「東京」でメジャーデビューし、サウンドの新しさ・メロディセンスの良さ・音へのこだわりが魅力と言える。年代を問わず、幅広いファン層を持つ。

くるりは今までに11枚のアルバムを発表してきた。しかし、そのどれを聞いてもすべてコンセプトが違う。同じ「くるり」であることには違いないが、その変化に毎回ファンはついていかなくてはならない。

同じようなバンドで真っ先に思い浮かぶのは、アイルランド出身のロックバンドU2だ。彼らも毎回アルバムごとにコンセプト、サウンドが大きく異なることで知られている。(U2は結成当時と同じメンバーで今も活動を続けているが)

どちらのバンドも共通しているのは、メロディや音へのこだわりなどの「芯はブレていない」という点だ。むしろファンは、一貫性がありながらも変化していく過程を楽しんでいる、とも言えるかもしれない。

 

なぜ音楽性が変わるのか

岸田氏は、熱心な読書家ならぬ「聴音家」である。

クラシックから日本のフォークミュージック、洋楽など幅広い音楽を、コアな部分まで聞き込んでいる。彼は鉄道好きでも知られているが、音楽への「オタク的要素」も色濃くその時々に聴いている音楽が、作品に影響を与えているという考えがしっくりくる。適切な言い方かどうかわからないが、くるりの音楽性は岸田氏の「マイブーム次第」なのかもしれない。

新曲がわれわれの手元に届く頃には、岸田氏のブームは変わっており、既に次の音へイメージが湧いているのだろう。自らも音楽ファンである岸田氏は、あらゆる影響を自分の中で消化し、くるりで表現しているのではないか。

 

なぜメンバーが変わるのか

岸田氏サウンド面でのこだわりも強い。

岸田氏は「耳がいい」というのは音楽好きの中では有名な話だが、ギターの音の作り込みをはじめ「作品としての音」へのこだわりが強い。時にはメンバーに細かく指示を出すこともあるようだ。

これは憶測だが、岸田氏の「気変り」や「こだわり」についていけなくなるメンバーもいたのだろう。それらが、衝突の要因の一つだったのかもしれない。岸田氏は自分の追い求めている音を実現するためには、とことん衝突することも厭わないのだろう。

もしくは、その時々の音楽を表現するための最適なメンバーを選んでいるとも言える。メンバーの入れ替わりを含めて、くるりの表現なのかもしれない。

くるりの核とは何か

私の場合、あまりの変わりように何が「くるり」なのかを見失ってしまい、聴かなくなった時期がある。ところが、しばらくするとまた、自然とくるりが聴きたくなる。不思議だ。

そう感じながら新しいアルバムを聴いてみると、改めて「核」となっている部分は変わらないことに気付かされる。核が浮き彫りになる、とも言い換えることができる。

その「核」とは、岸田氏の表現であるという点だ。サウンド、声、メロディ、コンセプトは異なっていてもそのそれぞれから、同じ人の表現であることを実感する。

「高校デビュー」という言葉がある。中学時代まで地味だった人が、高校に行ってあか抜ける時に使う言葉だが、くるりは各アルバムごとに「デビュー」している感覚がある。この表現に、共感してくれる人もいるのではないだろうか。

つまり、人間そのものが変わってしまったのではなく、あくまでも髪形や服装をイメージチェンジするように、その中身は「くるり」に違いない。

 

愛されるカメレオンバンド

長い間音楽界で活動し続けられている理由は、やはりその「核」の部分でリスナーに共感されているからだろう。

核を持ちながらもおしゃれをするという、いわばファッション性もファンを飽きさせない。これも、くるりが愛されている理由の一つと言えるだろう。

「カメレオンバンド」というと、いささか聞こえが悪いかもしれないが、それも一つの才能であり個性だ。容易に真似できるものではない。

2014年にアルバム『THE PIER』をリリースしてから、2年以上が経過している。次はどんな髪形、服装で「おしゃれ」をしてくるのか、これからのくるりに注目したい。

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