投資を始めてみようと考えた時に、株とFX(Foreign exchange)という二つの選択肢が浮かぶ方も多いのではないだろうか。また、その二つのどちらにしようかと悩む方もいる。

たしかに、どちらも「価格の変動を読む」という点では共通しているのは事実だ。それぞれチャート(価格の推移を示す図)を見ながらの取引になるが、チャートの見方そのものはどちらも同じ手法が通用する。加えて、それぞれ「売買によって利益を得る(キャピタルゲイン)」という基本的なスタイルも同様だ。

しかし当然ながら、株とFXとでは本質的な違い・それぞれの特徴がある。本記事では、似て非なる株式投資とFXの違いを、基本的な部分から解説する。

株とFXの共通点と違いは?

投資対象

まず、その最たるものが「投資対象の違い」が挙げられる。株が企業への投資であるのに対し、FXは通貨、広い意味で言えば「国」に対する投資とも言えるかもしれない。

また、それぞれの価格の変動要因も異なってくる。株式であれば企業業績が、FXであれば世界情勢や金融政策の動きに注目することが必要になる。

取引所の有無

株式は、証券取引所というマーケットが存在するのはご存じだろう。有名なものに東証(東京証券取引所の略)があるように、日本には他にも名古屋、福岡、北海道にも取引所が存在する。取引時間は、通常お昼休みを除いた9時から15時だけである。

それに対して、為替市場はどうだろうか。実は、為替には取引所というものは存在しない。また株式とは違い、土日を除く24時間取引が可能なのも人気の理由だろう。

このように株とFXとでは、それぞれのマーケットには違いがある。こうした取引時間などの違いも、どちらか選ぶ際のポイントにしてほしい。

インカムゲインの違い

株式には配当金や株主優待という仕組みがある。これらは年に数回、権利確定日に株式を保有していることが条件だ。売買差益(キャピタルゲイン)に対し、これらの収益はインカムゲインと呼ばれる。

参考記事:配当金の仕組みを基礎から解説 株式投資独自の報酬「配当金」

一方、FXでも金利差による利益(スワップポイント)という、インカムゲインが存在する。スワップポイントとは、取引を行っている2国間の金利差による利益だ。

スワップポイントは、株式の配当金とは異なり原則毎日付与される。ただし、FXの場合にはマイナスのスワップポイント(損益)がつくことがある点は、注意が必要だ。

売りからのトレード

「安い時に買って、高くなったら売る」のが、株式投資の大原則だ。信用取引と呼ばれる制度を利用すれば、売りからポジションを持つことができ(空売りと呼ぶ)、価格が下がるほど利益がでる。しかし、信用取引を行うためには条件(資産状況など)が設けられており、初心者には手が出しづらい。

一方、FXは誰でも売りからポジションを持つことができる点がメリットの一つだ。上昇・下降どちらの局面でも利益を出しやすいが、売りポジションを持ち続けているとマイナスのスワップポイントがつくことになるため、売りポジションを持ち続けることは容易ではない。

利益の扱い方の違い

では、次にそれぞれの税制面での違いについて見てみよう。株式の売買で得た利益は税制上では「譲渡所得」にあたる。また、配当金の支払いを受けた場合には「配当所得」に該当する。

一方、FXで得た利益は差益の場合もスワップポイントも「雑所得」として扱われる。

株式の場合、配当控除という項目があるため、確定申告をすることで控除を受けることができる点も株式の利点だ。

FXは雑所得扱いとなるため、経費としてかかった金額で控除を受けられるケースもあるが、まだまだFXの取り扱いは「雑」である。

株とFXの損益は合算できるのか

同様に税制上の話になるが、株式とFXどちらも行っている場合、損益の合算はできるのか気になる方もいるだろう。

結論を言えば、残念ながら現物株式とFXでの損益は、前項で説明したようにそもそも所得の分類が異なっているため、合算することはできない。

ただし、日経平均先物取引などの場合にはFXと同じく「雑所得」扱いであるため、損益を合算することは可能だ。1年間の損益を合算してマイナスの状態である場合には、確定申告を行うことで翌年以降の3年間、利益から引くことが可能なので活用したい。

株とFXそれぞれの勉強法を

先に述べたように、そもそも株とFXとでは根本的な違いがある。基本的なチャートの見方は共通しているとはいえ、変動要因に対する知識、トレード手法もそれぞれ知識を深めることが重要だ。

株式の場合、企業業績が好調であればその分人気が高まる。つまり、買い需要が増し、株価は上昇していくという図式になる。また、企業の合併や買収などにも注目していく必要があるだろう。株主優待や配当金支払などが行われる際の、利益確定日に株価の変動が大きくなる企業もあるので、そうした戦略を取って立ち回る投資家も存在する。

FXの場合には、各国の指標発表や要人発言が大きな価格変動要因だ。2016年で言えば、英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決定したBrexit(ブレグジット)の際には、為替は大きく変動した。このようにFXでは、日本だけではなく世界各国の情勢や金融政策に目を見張る必要がある。

レバレッジ(てこ)には要注意!

それぞれの取引は、レバレッジ(てこ)と言われる制度があり、実際に口座に入金している金額の何倍もの取引が可能だ。

株式の場合、「信用取引」最大3倍のレバレッジが可能である。一方、FXは誰でも最大25倍までのレバレッジで資金を動かすことができてしまうのだ。

一見、これらは魅力的に感じるかもしれない。しかし、レバレッジをかける取引は難易度が高い。大きな金額を動かすことができるということは、リターンが大きくなることに加え、リスクも大きくなることを忘れてはいけない。場合によっては、入金した金額以上の負債を背負ってしまうというリスクもある。初心者はまずデモトレードや、レバレッジをかけない小額の取引で訓練することをおすすめしたい。

株式投資とFXはそれぞれに特徴があり、投資を行う際の戦略も異なってくる。「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、どちらを始めるか迷っている場合には、自身が何に興味や知識があるのかというのを基準にしてみてはいかがだろうか。